Pymol導入で苦戦した話
Pymol導入で苦戦した話
以下の方法で解決したので備忘録
1.cpのバージョン確認
from pip._internal.utils.compatibility_tags import get_supported
print(get_supported())
参考:
Python-Control 環境構築 & whlファイル インストールエラー対応|Hiroyama|note
2.pymolのためのファイルをダウンロードする
上で確認したcpバージョンに合うやつを選ぶ
以下のURLからダウンロードできる
http://www.lfd.uci.edu/~gohlke/pythonlibs/
以下の4つをダウンロードして、python.exeのフォルダにぶち込む。
Pmw、numpy-mkl、pymol、pymol_launcher
ディレクトリをAnaconda3に移す
cd C:\Users\ユーザー名\Anaconda3
以下のコマンドに.whlファイルの名前をつけたせばOK
Scripts\pip.exe install
参考
Windows10にPyMOLをインストールする(2018年8月30日版) - Qiita
3.ファイル名を書き換えてインストール
mkl‑cp35‑cp35m‑win_amd64.whl
のところだったら以下の書き換えを行う。
mkl‑cp35‑none‑win_amd64.whl
バイオ工学のトレンド@20201201版
Current Opininon in Biotechnology 2018, 54:33-40
Advances n analytical tools for high throughput strain engineering
automationとroboticsの最新のトレンド紹介
デザインツールとしては、BNICE, M-path, XTMSが紹介されている。
DNAパーツを最適化したあとは、ゲノム編集で実装
あとは各種おミクス解析
大腸菌ミニプレにはオーバーナイト培養必須か?
プラスミドDNAを抽出する際には、アルカリ抽出法が最もよく用いられているのではないだろうか。
その歴史や詳しい原理は、生物工学会誌の第89巻で、北陸先端大の高木先生が書かれているので、それを参照していただきたい。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10517697_po_ART0009825539.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
このアルカリ抽出法を行う前段階として、大腸菌を試験管で培養する。
おそらく、大半の人が1晩培養(オーバーナイト)を行っているのではないだろうか。そういう風にプロトコルを教わったので、実際にそうしてきた。
しかし、これまで実験を行ってきたところ、培養6時間で十分であることがわかってきた。前回(https://bioinfo.hateblo.jp/entry/2020/10/11/123045)と同様に、東洋紡のDH5alphaに下記の5種類のプラスミドDNAを導入して、そのミニプレ効率を調べてみた。
1)pETDuet-1
2)pACYCDuet-1
3)pRSFDuet-1
4)pCOLADuet-1
5)pCDFDuet-1
大腸菌は4 mLスケールのLB培地で培養した。温度は37度で、6時間培養。
抽出には、日本ジェネティクスのプラスミドミニキットを使用した。
結果的には、pRSF以外は100 ng/uL前後、pRSFは200 ng/uL程度のプラスミド濃度の溶液を取得できた。
ちなみに、同様にオーバーナイト培養を行っても、得られるプラスミド濃度は変わらなかった。
他にも、プラスミド鎖長10 kbpを越えるプラスミドでも、6時間とオーバーナイトでの差はなかった。
夕方に培養をはじめて翌日にミニプレをしていると、実質は2日を要することになる。しかし、6時間で十分なら、9-15時培養、ミニプレ30分で、そこから次のクローニングにもっていくことなども可能なので、効率は大きく変わると思う。
大腸菌形質転換のヒートショック/回復培養の検証
大腸菌の形質転換は、ケミカルなものだと下記が標準的でしょうか。
だいたい1時間半くらいを要する。
コンピテントセルと、プラスミドを混ぜて氷中で30分、ヒートショック42度で1分、その後に氷上で2分静置、SOC培地を加えて、37度で1時間程度の回復培養を行い、プレートに播種する。
原理も曖昧なために、本当に1時間半も必要なのか?という疑問がわいてくる。
1996年に、5分でできる論文が発表されている。
コンピテントセルとプラスミドを混ぜて氷上で5分、37度で温めておいたプレートに播種する。
High efficiency 5 min transformation of Escherichia coli.
2016年にも、氷上で5minもいらない上、プレートを温める必要もない、という論文も出ている。
Impact of heat shock step on bacterial transformation efficiency
ここまで言われているのだったら、いざ試してみようといろいろ試してみた。
コンピテントセルとしては、東洋紡のDH5alphaと、タカラバイオのJM109を利用したが、どちらも大差はなかった。利用したプラスミドは下記。
1)pETDuet-1 :抗生物質はカルベ二シリン(終濃度50 ug/mL)
2)pACYCDuet-1:抗生物質はクロラムフェニコール(終濃度25 ug/mL)
3)pRSFDuet-1 :抗生物質はカナマイシン(終濃度25 ug/mL)
4)pCOLADuet-1:抗生物質はカナマイシン(終濃度25 ug/mL)
5)pCDFDuet-1 :抗生物質はストレプトマイシン(終濃度10 ug/mL)
1)pETDuet-1
ヒートショックも、回復培養も不要。
2)pACYCDuet-1
ヒートショックは不要、回復培養は必要でLB, SOCで差なし。
15 minの回復培養では1桁~2桁程度、効率が低下するの。
30 min程度するのがベターだと思われる。
3)pRSFDuet-1
ヒートショックは不要、回復培養は不要。
カナマイシン50 ug/mLにすると、回復培養は必要。
4)pCOLADuet-1
ヒートショックは不要、回復培養はカナマイシン25 ug/mLでも必要。
5)pCDFDuet-1
ヒートショックは不要、回復培養は必要。
以上のような結果でした。
このあたりを、プラスミド増幅機構や薬剤耐性機構を合わせてシミュレートできると面白そうだけどなあ、と思ったりする。
もう一つの形質転換法である、エレクトロポレーションについても、キュベットとかコンピテントセルを氷上で用意するのが一般的かと思いますが、室温の方が効率が上がるそうですね。
まだ比較はきちんとできていませんが、いずれ。
ゲノム編集から、ゲノムを書く時代
2020年のノーベル化学賞は、ゲノム編集CRISPR-Cas9の技術を確立したジェニファー・ダウドナと、エマニュエル・シャルパンティエの両氏に授与される。
ゲノムを編集するモチベーションは、何と言っても生命の設計図はゲノムDNAにあり、ゲノムDNAを意のままに編集することで設計図通りに意図した性質を生み出せることにある。
例えば、ガンの原因が設計図にあるとすれば、ゲノム編集で治療できる未来がくるかもしれない。こういった医療分野は『レッド・バイオテクノロジー』と呼ばれている。この分野の課題でいくと、世界保健機関(WHO)によると希少疾患の80%近くが遺伝性疾患とされている。つまり、そういった遺伝子疾患についての原因が、ゲノムにあるとすれば、その治療手段としてゲノム編集が有望になることは容易に想像できる。
また、医薬品開発における合成生物学への貢献も期待される。実際に、抗マラリア治療薬アルテミシニンの発酵生産で有名なAmyris社、麻薬性鎮痛薬の発酵生産で有名なAntheia社などが社会実装に向けて活動している。
他にも、『グリーンバイオテクノロジー』と呼ばれる領域もある。農業分野の研究で、農産物に昆虫や菌類への耐性を付与したり、除草剤に対する耐性を付与することを狙いとしている。従来は偶々そういった植物を獲得するように交配を繰り返すアプローチがとられていた。ただ、それでは非常に膨大な時間を要することから、より短時間で望み通りの性質を得るための工夫を行っていくことが必要となる。その一つがゲノム編集となりうる。
また、実際に家畜飼料の消化性や栄養吸収性の向上を目指した技術開発を行っているAgrivida社や、砂糖の生産性向上や害虫予防を目的とした植物改変の技術開発を行っているPlant Sensory Systems社などが、合成生物学の社会実装に向けた活動を進めている。
ここまでの2つの分野はヒトの口に入ることから、その議論はより慎重に行っていかなければならない分野である。ただ、バイオテクノロジーが貢献できるのはこれらの分野だけではない。
バイオ燃料やバイオ化成品に関わる『ホワイトバイオテクノロジー』がある。従来は石油から作られてきたような燃料・化成品を、バイオの力で合成しようという分野である。石油資源の限度であったり、二酸化炭素を植物で再び固定化して石油にするためには膨大な時間を要することなどに応える技術として、着目されている。
実際に、Lanza Tech社はメタノールや二酸化炭素からのバイオ燃料発酵生産の社会実装を目指している。他にも、Lygos社はマロン酸、Green Biologics社はブタノール、Green phenol開発株式会社はフェノールといった化学品生産が行われている。
では、ゲノム編集がこういった分野で「必要」とはされても、「十分」であるかというと、否である。なぜなら、局所的な改変はできるが、それは従来の遺伝子工学ツールでもできたことではある。しかし、大規模に遺伝暗号を改変することを目指す場合にはゲノム編集では到底対応しきれないであろう。
例えば、Antheia社が取り組んでいる麻酔薬は、本来は植物の中の多段階の代謝反応で合成されるが、それをより生産速度の速い微生物で実現することを目指す場合には、その多段階の反応を触媒する酵素を導入する必要がある。ゲノム編集では到底、処理しきれないわけである。
ゲノム編集の次の時代として、ゲノムを書く時代が来る。
ゲノムとは、そもそもアデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種の塩基の組み合わせ表現されるので、それらを人工的に組み合わせてやればゲノムを書くことができる。
2010年には、人工マイコプラズマの合成
Creation of a bacterial cell controlled by a chemically synthesized genome
2013年には、人工ゲノム大腸菌の合成
Genomically Recoded Organisms Expand Biological Functions | Science
2014年には、酵母の16本の染色体のうち1本を人工的に合成して、機能発現に成功している。
Total synthesis of a functional designer eukaryotic chromosome
そのほかの染色体についても、2017年には5本の染色を人工的に合成している。
Design of a synthetic yeast genome
さらに、将来的な遺伝子の欠損や置換を志向した形での酵母の人工ゲノム合成が続けられている。
細菌ゲノム(1,000,000塩基)、大腸菌ゲノム(5,000,000塩基)、そして酵母ゲノム(10,000,000塩基)と徐々に大きなゲノムをもつ生物の合成が進んでいる。
こういった研究のモチベーションの一つには、「生命とは何か」という根源的な命題に答えることにあるだろう。つまり、人工ゲノムから遺伝子を極力そぎ落とすことで、生命に必須の因子を調べることが期待される。
例えば、人工マイコプラズマについては、クレイグベンター研究所が当初作った人工ゲノムJCVI-Syn1.0では約1,080,000塩基からなっているが、そこから生命維持に必須でない遺伝子を減らすことで、JCVI-Syn3.0と呼ばれる530,000塩基からなる人工ゲノムを報告している。
Design and synthesis of a minimal bacterial genome
では、この最小ゲノムを利用して「生命とは何か」に答えられたかというと、まだ不完全な状況である。このゲノムには、473遺伝子が含まれているが、そのうち20%弱の149遺伝子については機能が不明なままなのである。
そのため、今後の研究では形質と遺伝子の関係を、実験結果とインフォマティクスを組み合わせて明らかにされていくことが期待される。
代謝経路を予測することについて1
しかし、既知の代謝産物よりも、既知の代謝経路の方が少ないのが実情である。
実際の数値については、データベースを紐解こう、具体的には2020年10月時点でのKEGG情報を参照すると。
反応数(R-):11,270種
化合物数(C-):18,596種
KEGG: kyoto encyclopedia of genes and genomes
このことからわかるのは、代謝経路というものをきちんと人類は解析できていないのではないか、ということである。とはいえ、膨大な数になっているので人類の手作業では到底、相手にできない。そこで、Informaticianの仕事が重要となってくると考えられる。
実際には、どのようなアプローチで代謝経路を予測するのか、について改めて調べてみたい。
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