大腸菌ミニプレにはオーバーナイト培養必須か?
プラスミドDNAを抽出する際には、アルカリ抽出法が最もよく用いられているのではないだろうか。
その歴史や詳しい原理は、生物工学会誌の第89巻で、北陸先端大の高木先生が書かれているので、それを参照していただきたい。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10517697_po_ART0009825539.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
このアルカリ抽出法を行う前段階として、大腸菌を試験管で培養する。
おそらく、大半の人が1晩培養(オーバーナイト)を行っているのではないだろうか。そういう風にプロトコルを教わったので、実際にそうしてきた。
しかし、これまで実験を行ってきたところ、培養6時間で十分であることがわかってきた。前回(https://bioinfo.hateblo.jp/entry/2020/10/11/123045)と同様に、東洋紡のDH5alphaに下記の5種類のプラスミドDNAを導入して、そのミニプレ効率を調べてみた。
1)pETDuet-1
2)pACYCDuet-1
3)pRSFDuet-1
4)pCOLADuet-1
5)pCDFDuet-1
大腸菌は4 mLスケールのLB培地で培養した。温度は37度で、6時間培養。
抽出には、日本ジェネティクスのプラスミドミニキットを使用した。
結果的には、pRSF以外は100 ng/uL前後、pRSFは200 ng/uL程度のプラスミド濃度の溶液を取得できた。
ちなみに、同様にオーバーナイト培養を行っても、得られるプラスミド濃度は変わらなかった。
他にも、プラスミド鎖長10 kbpを越えるプラスミドでも、6時間とオーバーナイトでの差はなかった。
夕方に培養をはじめて翌日にミニプレをしていると、実質は2日を要することになる。しかし、6時間で十分なら、9-15時培養、ミニプレ30分で、そこから次のクローニングにもっていくことなども可能なので、効率は大きく変わると思う。